世界初の技術とは
「こんな便利なファイルがあったのか」と感動を呼び起こしているヌーケが従来のファイルとは大きく異なっている特徴は、
①専用パンチャーで溝付き穴を開けます。②綴じ足(書類に差し込まれる足)が平らな板であり、③レバーを引いたり戻したりすることで、綴じ足が90°回転し、綴じた書類をどこからでも自由に抜き差しできることです。
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特許取得済のこれまでになかったこの機構によって、感動をもたらす抜き差し自在な特許ファイル=「ヌーケ」が実現できました。
開発ストーリー
NOUQUE誕生のきっかけは、キョーワハーツのホームページを見たある方が相談に来られたことから始まりました。平成24年5月のことです。 その方のお嬢さんはキャビンアテンダントをしているのですが、仕事で使用する「乗務員マニュアル」が改定されるたびに、その差し替え作業が大変手間がかかるのでどうにかできないかと考えられていたということです。 「乗務員マニュアル」は旅客機における接客から安全管理についてのことなど大量の情報が詰まったもので、分厚いパイプ式ファイルに綴じられていました。 その内容が改定されるたびに改定された箇所を差し替えるのですが、500ページ以上からなるマニュアルの中から数ページを抜き出し差し替えるというのは想像以上に大変なものです。 パイプ式ファイルの場合、該当するページまでを綴じ具と共に引き抜き、残ったページから該当するページを差し替え、再度引き抜いたページを戻して留めなおさなくてはいけません。 ページ数の多い書籍を持ってみるとわかりますが、紙は量が増えるととても重たいもので、大きさや厚さによってかなりの重量になります。 マニュアルの場合、A4サイズ以上の大きさで厚さのあるしっかりした紙で作られていますから、まとめて抜き差しするのは大変な作業です。 また、誤って抜き出したページが綴じ具から外れてしまったら、それらを正しいページに揃えて綴じ具のパイプを穴に通して留めなおすのも一苦労です。 その方はそんなお嬢さんの大変な姿を見て、少しでもその作業を楽にできないものかと思い、新しいファイリング技術の開発に取り組まれました。 試行錯誤の末に辿り着いたのが「簡単に書類が抜き差しできる綴じ具ととじ穴」でした。 とじ穴を単なる穴ではなく、「溝付き穴」にすることで抜き差しを可能にし、差し込まれた書類が外れないようにするための回転式の綴じ具を発案しました。
今までにない解決策
キョーワハーツは板バネ加工を得意とした金属の精密加工の会社です。 発案の肝となる部分、綴じ具が回転し、書類の抜き差しが簡単に行えるという機構を製品化するところに実は大きな問題がありました。 綴る紙にとじ穴に切り込みを入れた「溝付き穴」を開けるために専用のパンチャーを製作し、「溝付き穴」の開いた紙を綴じ具に差し込み、綴じ具を回転させて綴てみたところで問題が発生しました。 綴る枚数が1枚、2枚なら問題ありませんが、沢山の紙を綴じようとすると、綴じ具が回転しないのです。 この新しい機構の場合、回転する綴じ具の幅よりも穴の直径は大きくはしていますが、綴じ具を回転させるためには沢山の紙がキチンと整列していないと、綴じ具が穴に接触して回転しないのです。 諦めずに作り続けた結果、綴る紙の束をキチンと正しい位置に整列させる工夫が生まれました。 今度は綴じ具の強度や耐久性に問題が出てきたのです。 沢山の紙を綴じ、ファイルを机の上に立てかけておく、あるいは引き出しに立てた形でしまっておくと、時間の経過とともに綴じ具が重量に耐え切れずに回転してしまい、綴じた紙が外れてしまう。 これは回転機構のレバーを綴じ具の上部に取り付ければ容易に解決できる問題でした。 綴じ具の上部に取り付けるということは、使う人はレバーを体から外側に引っ張らなければならず使いずらい。 ファイルを開いてレバーを手前に引いてロックを解除するという動作の方が自然で使いやすい。 「ものづくりは使う人のことを考えて作られなければならない」という信念のもと、この「使いやすさ」にこだわりを持って問題に取り組み、とても長い時間をかけ苦労はしましたが、やはり諦めずに取り組んだことで解決策にたどり着くことができ、「使う人にやさしい製品」も守られました。 かくして、家族への思いやりから発案され、同じように悩まれている方が使いやすく悩みが解消される製品が完成しました。
持ち込まれたプロトタイプ(原型)を金属で作ることは簡単ですが、いざこれが実用に耐えるかとなると色々な問題が出てきました。誰もが使いやすい製品